報告

World BOSAI Forum 2023
実施報告

ご挨拶

「世界防災フォーラム2023/IDRC2023 in SENDAI」が無事閉幕いたしました。セッション・展示・ポスター・ミニプレゼンテーション等にご協力・ご参加くださった方々、ご来場くださった多くの地元の方々に、心より御礼申し上げます。犠牲者の追悼と鎮魂、そして震災からの復興、決して震災を忘れないという想いも込めて、今開催は時期を3月に変更しました。

コロナの影響も心配されましたが、最終的に39カ国から事前会議登録者1,335名、当日参加者やEXPO参加者なども含めた人数は3日間で述べ5,412名となりました。今回は市民の方に無償参加を呼びかけた結果、より多くの方に参加いただくことができました。

会場では、口頭セッション30、カンファレンス7、ポスター発表55、ミニプレゼンテーション33、EXPO展示ブース33が展開されました。国際機関、政府、学術界、民間企業、NGO、市民の対話を通じて、災害リスク軽減の具体的な解決策を議論し、世界に情報発信しました。SDGsへの関心の高まりからインクルージョン、ジェンダーなどの側面から防災を捉えたセッションが多く開催され、女性の参加や高校生も含む若年層の方の企画したセッションが目立ちました。

今回初の試みとして、世界防災賞を制定しました。受賞者は100年前の関東大震災の際に当時の排日政策の中、躊躇わず日本を援助した米国第30代大統領カルバン・クーリッジ氏、日本からは、資金不足や厳しい逆風の中普代水門を作った岩手県普代村の元村長和村幸得氏です。どちらも防災のためにリーダーとしての責任と意志を貫き通したことが注目されました。

クロージングでは東日本大震災の復興にも携わったZiNEZ&sakkumanによるフリースタイルバスケットボールパフォーマンス、東北大学交響楽団のメンバーによる演奏、仙台市立第一中学校合唱団による合唱、May J.のステージなどが披露されました。文化芸能と防災の融合を象徴したクロージングとなりました。

そして、2023年5月に国連総会で実施される仙台防災枠組の中間評価に向けた提言を国連事務総長特別代表(防災担当)兼. 国連国際防災戦略事務局 (UNISDR) ヘッドである水鳥真美氏に手渡しました。

しかし、トルコでの大地震の発生や南海トラフ地震のリスク、気候変動の影響と思われる、頻発する大型の熱帯性低気圧などによる大きな被害など、課題は山積しています。世界防災フォーラムとしても適応の具体的な解決策を産官学民の対話の中から、女性や若者、市民の視点を大切にしながら発信してまいりたいと思います。

次回の世界防災フォーラムは2025年3月頃仙台で開催予定です。今開催の結果を踏まえつつ、より良いフォーラムとなるよう、事務局一同、終わったその日から次回の準備を進めているところです。引き続き皆さまのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

一般財団法人世界防災フォーラム
代表理事 小野裕一

開催概要

開催日程 2023年3月10日(金)~12日(日)
会場 仙台国際センター
〒980-0856 仙台市青葉区青葉山無番地
主催 WBF国内実行委員会及びWBF国際実行委員会
後援 内閣府、復興庁、外務省、文部科学省、国土交通省、青森県、岩手県、福島県、毎日新聞社 仙台市局、朝日新聞、仙台総局、産経新聞、仙台支局、読売新聞 東北総局、NHK 仙台放送局、(株)宮城テレビ放送、tbc東北放送、仙台放送、東日本放送、エフエム仙台

内容

セッション

口頭セッション30、基調講演1、さらにカンファレンス6が実施され、活発な議論が展開されました。

リストは以下のリンクからご覧ください。

ポスターセッション

防災に関連する学術研究成果のみならず、企業等における防災の実践的取組みの紹介も含め55件のポスター発表がありました。また、ポスター賞は以下の3名に決定しました。

[P27]
名前 Matias Korfmacher
所属 University of Washington
タイトル Improving Extreme Heat Response in Washington's Healthcare Sector
[P35]
名前 Ren-Jie Li
所属 National Taiwan University of Science and Technology
タイトル No-code integrated database and chatbot aiding disaster-resistant communities
[P44]
名前 Yu WATANABE
所属 Tohoku University
タイトル Impacts of Handing Down Disaster Experiences on Storytellers and Successors: A Case Study of PBL Classes at Tohoku University

ミニプレゼンテーション

研究者のみならず、高校生や大学生チーム、企業、市民などによる多様なプレゼンテーションがありました。

World BOSAI EXPO

合計33の企業、団体が展示を実施しました。

報道

27の新聞社や放送局の取材を受け、TVや新聞等で大きく報道されました。

主な成果

・本体会議では、口頭セッション30、カンファレンス7、ポスター発表55、ミニプレゼンテーション33、EXPO展示ブース33が展開されました。「仙台防災枠組2015-2030」の推進と課題や、インクルージョンと防災など活発な議論がなされ、「BOSAI」の具体的な解決策を共有し、世界へ浸透させることができました。

・日本を含む40の国・地域から、1355名の会議登録者が参加しました。会議登録者の主要な所属機関は、国連を含んだ国際機関、国内外の大学等の研究機関、国内外の政府関係者、地方自治体、企業等でした。

・三日間の延べ人数では5412名(展示出展者、当日参加者含む)が参加しました。特に地元宮城から多くの方が参加されました。

・東北大学から4つの主催セッション、10 の共催セッションを実施し、東北大学および災害科学国際研究所が復興に果たした役割や防災への貢献等について国内外へ発信しました。

・世界防災賞を創設し、岩手県普代村和村幸得村長、米国第30代大統領カルビンクーリッジ、を表彰し、彼らの偉業を再び讃え、市民への防災の関心を高めることができました。

・クロージングでは東日本大震災の復興にも携わったZiNEZ&sakkumanによるフリースタイルバスケットボールパフォーマンス、東北大学交響楽団のメンバーによる演奏、仙台市立第一中学校合唱団による合唱、May J.のステージなどを実施し、文化芸能と防災の融合を実践したクロージングを実践しました。

・また、2023年5月に国連総会で実施される仙台防災枠組の中間評価に向けた提言を国連事務総長特別代表(防災担当)兼. 国連国際防災戦略事務局 (UNISDR) ヘッドである水鳥真美氏に手渡し、世界に向けて仙台防災枠組の進捗の重要性を訴えました。全文は以下のとおりです。

提言

 

前文

世界防災フォーラム2023/IDRC2023 in SENDAIには、39カ国から三日間のべ5412名の参加者が集まりました。国際機関、政府、学術界、民間企業、NGO、市民の対話を通じて、災害リスク軽減の具体的な解決策を議論し、世界に情報発信しました。紛争は災害リスク軽減の最大の敵であり、仙台防災枠組、パリ協定、SDGsが目標達成に大きく遅れをとっている原因の一つであることから、世界各地の紛争問題を早期に解決してほしいという声が上がりました。一方で、災害リスク軽減に関する国際協力が、紛争問題を解決する糸口になる可能性があることも、本フォーラムでは強調されました。Covid-19パンデミックは多大な犠牲者を出しましたが、本フォーラムでは事前の備えと非常時の医療分野の維持の重要性が指摘されました。トルコとシリアの地震に関する特別セッションでは、学術界と実務家による課題と解決策が議論されました。災害リスク軽減のためには、新しい技術の開発が有効ですが、すでに世界には十分な技術があり、それが社会に浸透していないことが問題であるとの指摘がなされました。社会経済的に異なるグループが災害に対してより脆弱であるというギャップを埋めるために、災害リスク軽減における包括性と持続可能性を含む人間中心のアプローチが注目されました。災害関連博物館に関連する絵本や災害語りなどの教育・啓発は、災害体験の記憶を次世代に残すための砦となります。女性、子供、障害者の視点からの参加は、災害リスクをさらに軽減することになると、いくつかのセッションで議論されました。仙台市は、地域レベルでの災害リスクの把握に役立つ「仙台フレームワーク」の中間レビューを実施しました。「World BOSAI EXPO」として、民間企業の防災製品技術や防災関連団体の活動を紹介する展示も行われました。

今回のフォーラムでは、仙台防災枠組の中間レビュープロセスに対して、以下のような提言がなされました。

  1. 本フォーラムは、仙台防災枠組の高い価値とその実施が早く進むことの重要性を認識しています。その意味で国連防災機関の重要な役割を尊重します。最終的には、仙台防災枠組の推進と見直しが、各国における災害リスク軽減の実践につながり、ナショナルプラットフォームとその事務局(多くの場合、国家防災組織)の強化を含む、災害リスク軽減を現場で実施するための国や地域のメカニズムの強化につながることが必要です。
  2. 災害リスクの理解(仙台防災枠組の優先分野1)
  3. リスク情報と防災の意思決定や行動との結びつきをさらに高めるために、リスク評価を含む信頼できるエビデンスが必要です。
  4. 信頼性を高めるために、過去の災害損失・被害データ・統計も十分に活用・参照する必要があります。また、インフラを含む経済的損失をより適切に算出できるようにする必要があります。
  5. 災害リスク軽減とレジリエンス構築に関する理解しやすい指標が必要です。レジリエンスはどこまで取り組めば良いのか。国内および国を超えた関係者の間で、実質的な議論が必要です。
  6. 仙台のモニタリングは、国だけでなく、市町村を含む地方公共団体も行い、地域レベルの災害リスクを把握することが必要である。
  7. 災害リスクを管理するための災害リスクガバナンスの強化(仙台防災枠組の優先分野2)
  8. 災害リスク教育に携わる優秀な人材を確保するための教育プログラムを充実させる必要があります。科学的根拠に基づき、最適な災害リスク軽減行動を策定するための学際的な実践プログラムをより多く立ち上げるべきです。
  9. 災害リスク軽減のためのナショナルプラットフォームの強化と、公共事業、建設、計画、財務など災害リスク軽減に投資する国の組織との連携が重要です。
  10. 災害リスク軽減のための構造的な対策と非構造的な対策の両方のバランスが重要です。そして、限られた資源の中で様々な主体が行う災害リスク軽減の効果を最大化するために、災害リスク軽減策の最適な組み合わせが必要であり、そのための災害リスク軽減効果評価手法の確立が必要です。
  11. 災害リスク軽減のための投資への民間セクターのさらなる関与が必要です。災害リスク軽減のための国家戦略や予算があれば、民間セクターの関与はより効果的でしょう。
  12. 具体的な行動(有形、測定可能、目に見える、「地図にできる」、GISベースの行動)が地域レベルで必要です。グローバルレベルのアジェンダは、ローカルレベルのアクションのためにあるべきです。すべての災害はローカルレベルに影響を与えるので、活動は行動指向でなければいけません。
  13. レジリエンスのための災害リスク軽減への投資(DRRのための仙台フレームワークの優先分野3)
  14. 実質的なリスク低減のために、民間投資の指導・管理を含め、災害リスク低減への継続的な投資が必要です。上記を実現するために、持続可能な予算を確保する必要があります。
  15. 災害リスク軽減を空間計画、都市計画、農村計画、土地利用計画と連携させる必要があります。災害リスクは短期的には大きく減少せず、気候変動の影響には遅発性災害も含まれることから、災害リスク軽減のための継続的な投資と空間計画が重要です。
  16. 公共資産の保険など、レジリエントなインフラのためのより良い金融メカニズムを開発する必要があります。
  17. 必要な事前災害投資と防災行動は、国や地域の経済的・社会的発展レベルに応じて最適化する必要があります。早期警報システムは、仙台防災枠組のグローバルターゲットA、Bを達成するために有効であるが、仙台防災枠組のグローバルターゲットC、Dを達成するためには、他の有効な防災対策と組み合わせることも考慮しなければいけません。
  18. 効果的な対応と復旧・復興における「より良い復興」のための災害への備えを強化する(仙台フレームワークの優先分野4)
  19. 東日本大震災の教訓から生まれた「Build Back Better」の原則に基づく災害発生前の事前復興計画は、事前防災投資として非常に効果的であり、復興にかかる時間とプロセスを改良することができます。
  20. インフラ整備など、復旧・復興の「ハード」面での復興は、必ずしも被災者一人ひとりの「復興」を意味しません。例えば大規模災害の数年後でも、被災者の自殺率は高いままです。その意味で、"Build Back Better"は、被災者一人ひとりの心理社会的状況に焦点を当て、必要な措置を講じるべきです。そのような措置は、被災者が将来のリスク軽減に取り組むことを促し、地域社会の回復力を高めることになります。
  21. 横断的課題および新たな課題
  22. 災害リスク評価の精度を向上させるために、アカデミアの参加を得て、科学的な国際協力ネットワークをさらに強化する必要があります。
  23. 仙台枠組の実施期間前半に蓄積された国や地域の優良事例の共有、仙台枠組の定期的な見直し、気候変動適応問題など、各国の防災主管官庁の視点から災害リスク軽減の重要課題を議論する定期的な政府間会合の場がないことが課題です。
  24. 気候リスクの増大の問題を認識すると同時に、UNFCCC の下での気候変動適応のグローバルなプロセス、特に COP シリーズにおいて、気候変動に関連する災害リスク軽減の問題が 防災主管官庁の十分な関与なしに議論・決定されていることを懸念する声がありました。
  25. 気候変動に長年対応してきた国と、新たなリスクとして気候変動に直面している国との間のギャップを埋め、知識を共有することが必要です。従来の災害リスク軽減戦略は、気候変動による災害にも有効です。
  26. 気候変動への適応策と災害リスク軽減の関連性について、国レベルでの災害損失や被害に関する確かなデータに基づき、科学的根拠に基づく議論やエビデンスが必要である。