[P18] 緊急地震速報とろうコミュニティ:問題背景と求められる対処
所属 | ギャローデット大学 |
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筆頭著者・発表者 | 高山 亨太 Audrey Cooper オードリー・クーパー |
共著者 | オードリー・クーパー(ギャローデット大学) ミシェル・クック(マサチューセッツ大学アマースト校) ダニエレ・スーミー(アメリカ国立科学財団) サラ・マックブライド(アメリカ地質調査所) |
キーワード
- ろう・難聴者
- 緊急地震速報
- 障害インクルーシブ災害リスク軽減
概要
緊急地震速報は、揺れが始まる前に「しゃがむ」「隠れる」「しっかりつかまる」などの災害行動を取るための貴重な数秒を提供する。しかし、ろう・難聴者は、地震情報や警報システム、訓練、災害に関する意思決定への参加において公平なアクセスが制限されている。国際的な規定では障害者が利用可能な緊急警報が求められているが、ろう・難聴コミュニティに対する緊急地震速報の有効性を評価した研究は皆無である(Cooper et al., 2024)。ろう・難聴者は、適切な速報や災害情報を受け取れず、結果的に深刻な被害を受けやすい。また、防災訓練や災害への備えに関する情報へのアクセスが不十分なため、災害時に適切に行動するための文脈的知識が不足している事実がある(Cooper et al., 2024)そのため、東日本大震災では、聴者と比較して、ろう・難聴者の死亡率が2倍ほど高かったことが判明している(Takayama, 2017)。この問題の背景には、学校や職場、家庭内での言語的不平等があり、ろう・難聴コミュニティが重要な災害情報にアクセスできない状況が続いていることが挙げられる。ろう・難聴者の使用言語や文化の視点を取り入れた緊急地震速報の向上が、ろう・難聴コミュニティの積極的な参加を促し、かつ緊急地震速報や防災の取り組みを改善することが求められている(Craig et al., 2022)。本ポスター発表では、近年の研究の成果やろう・難聴コミュニティの防災取り組み、および緊急速報システムに関するろう・難聴者の経験について概観する。引用文献 / ReferenceCooper, A.C., Cooke, M.L., Takayama, K., Sumy, D.F., & McBridge, S. (2024). From alert to action: earthquake early warning and deaf communities. Nat Hazards, https://doi.org/10.1007/s11069-024-06719-6 Craig, L., Cooper, A., Takayama, K., & Klein, H. (2022). Deaf community and DiDRR supporting a Twin-Track approach. Review of Disability Studies, 18(3), 1-24Takayama, K. (2017). Disaster Relief and Crisis Intervention with Deaf communities: Crisis Mobilization and Response to Natural Disasters in Japan. Journal of Social Work in Disability & Rehabilitation, 26(3-4), 247-260.