防災ニュース

厚生労働省は、2022年度、災害福祉支援ネットワーク中央センターを創設し、災害時の要配慮者の支援を行う「災害派遣福祉チーム（DWAT：Disaster Welfare Assistance Team）」の取組みを集約し、支援体制を強化します。

DWATは、災害時に医療関係者らで編成されるDWATの福祉版といえるもので、介護福祉士や社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、介護支援専門員ら5名で編成される福祉専門職チームです。大規模災害発生時に避難所へ派遣され、食事やトイレなど介助などを行い、相談支援や環境整備の助言を行います。現在、40都道府県が設置しており、登録する専門職の方は全国で約6000人にのぼります。また、DWATの派遣を決定する災害福祉支援ネットワークは44都道府県に設置されています。今回の中央センター設置は、こうしたDWATの活動を集約し、都道府県のネットワークと連携して広域的な派遣調整を行えるようにして体制を強化しようというものです。

東日本大震災のあと、DWATのような専門職の職員で編成される民間の災害派遣チームがいろいろと整備されました。みなさんはいくつご存知でしょうか。主なものを以下に挙げておきます。

 

【DMAT】災害派遣医療チームDisaster Medical Assistance Team
発災から48時間以内に活動できるよう専門的に訓練されたチーム。医師1名・看護師2名・業務調整員1名の4～5名で構成される。阪神・淡路大震災を契機として2005年に発足。厚生労働省にDMAT事務局が設置されているのは日本DMAT。その他、都道府県が独自に整備する都道府県DMATがある。

 

【JMAT】日本医師会災害医療チームJapan Medical Association Team
日本医師会が編成する医療チーム。被災地の医師会から要請を受けて出動する。医師1名・看護職2名・医療事務職員1名の4名を基本に編成される。特殊な資格をもたなくても被災地を医療的に支援したい人が事前登録なしに参加できる。DMATの超急性期対応から引き継ぎ、急性期の医療を支援する。具体的には、避難所などや医療支援空白地域を巡回し、健康状態や栄養状態、公衆衛生状態などをチェックし、改善の助言指導を行う、被災地の医療関係者間の連絡調整や医療ニーズの引き継ぎを行うなど。

 

【DPAT】災害派遣精神医療チームDisaster Psychiatric Assistance Team
災害時の精神科医療や精神保健活動の支援を行う専門チーム。精神科医師、看護師、事務職員等による3～5名（車で移動できる機動性を確保した人数）で構成される。移動日2日、活動日5日の7日間を標準とし、必要であれば数週間～数カ月継続する。2014年の広島豪雨での大規模土砂災害が正式な初派遣。

 

【JRAT】大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team
東日本大震災時のリハビリテーション支援関連10団体が前身となり設立された。避難所の環境整備、福祉用具の手配や活動など、大規模災害発生時に要支援者や新たな障害者、被災高齢者らの身体・認知機能の低下、エコノミークラス症候群など生活不活発病の予防などにより、自立した生活を再建していけるようリハビリテーション体制を支援する。

 

【DHEAT】災害時健康危機管理支援チームDisaster Health Emergency Assistance Team
都道府県の保健医療調整本部・保健所の指揮調整機能を支援し、防げたはずの災害死や二次的な健康被害の拡大を最小化するために活動する。主に急性期から慢性期にかけての間、救護所・避難所から医療ニーズなどの情報を集め、健康危機管理組織に報告し、後方支援の要請・不足資源の調達など組織・職種横断的な調整を行う。1チーム5名程度で編成される。公衆衛生医師・保健師のほか、薬剤師・臨床検査技師・管理栄養士・精神保健福祉士・連絡調整員などが参加する。活動は1チームあたり1週間以上を標準とし、必要に応じ、数週間～数カ月継続する。

 

【JDA-DAT】日本栄養士会災害支援チームThe Japan Dietetic Association-Disaster Assistance Team
日本栄養士会が設立。被災地内の医療・福祉・行政栄養部門等と協力し、緊急栄養補給物資等の支援を行う。概ね72時間以内の急性期に活動する。事前に研修を積んだリーダーとスタッフ、被災地の管理栄養士または栄養士を含む4名程度で編成される。被災地の情報収集、緊急栄養補給物資の支援、被災施設や避難所での栄養補給支援、対応困難な被災者への支援などを行う。

（写真出典：PhotoAC）