財団について

代表理事のご挨拶とW B Fへの想い

大切な人と二度と会えなくなってしまうことは、人生で最もつらい苦しみのひとつです。2011年3月11日の東日本大震災では、一瞬のうちに2万人近くの人が犠牲になり、その犠牲者と繋がっていた何万・何十万以上の人たちが耐えがたい別離の苦しみを味わうことになりました。

私が防災に携わるきっかけとなったのが、米国での学生時代に研究テーマであった「バングラデッシュの竜巻災害の軽減」がきっかけです。1996年5月13日に700名以上の犠牲者を出した竜巻が発生し、その1ヶ月後に単身調査に行きました。

当時は竜巻の警報システムも防災対策もゼロという状態でした。ただ、若い私に衝撃を与えたのはそれらの知識や情報ではありませんでした。被災地での経験です。高校の校庭に築かれた無数の土饅頭。出稼ぎの季節労働者の遺体は身元不明のまま埋められていました。「遺族は彼らが死んだことさえ知るすべはないでしょう」と聞かされました。こんなことは起こってはいけないと強く思いました。停電で手術もできない地方の拠点病院には、全身切り傷だらけの患者が痛みでうめきながら床にまで溢れていました。

数年後、途上国の防災のために国連に就職しました。防災畑の職場でジュネーブ・ボン・バンコクにおいて通算10年あまり勤務させていただきました。そこで2011年3月、バンコク勤務時にあの震災のニュースを耳にすることになりました。4ヶ月後には日本に戻り陸前高田でボランティアとしてお世話になりました。その体験から、東北の被災地で何か自分にできることはないかと強く思い、今の職場、東北大学に新設された災害科学国際研究所に2012年11月から赴任することになりました。折しも第3回国連防災世界会議を仙台で開催する話が盛り上がりをみせておりました。

東北大学に赴任してからすぐに、この会議の誘致活動に協力し、この会議で何を打ち出していくのかを皆さんと一緒に考えることになりました。震災からまだ2年も経ていませんでしたから、被災地では復興のまっただ中でした。ソフトやハードに加えて、心(ハート)の復興も大きな課題でした。国内外から多くの訪問者があり、その度に被災沿岸地域にお連れしました。そのような環境の中で何を被災地から発信していったらよいか。また兵庫行動枠組の後継となる新たな枠組には何を盛り込んでいったらよいのか。やるべきことは山ほどありました。

その中から、会議で重要な意味を持ち、会議後に仙台や東北に残る仕掛けを考える必要がありました。地元紙の河北新報が書いていたように「2万人の震災の犠牲者の墓標の上で開催される会議」ですから、絶対に成果を出さなければいけませんでした。幼子を妻や親に預け、時差も顧みず海外を飛び回って各方面との調整に明け暮れていた2014年の10月、胸に痛みを感じ、救急車で搬送される事態になってしまいました。子2人の顔が目に浮かびました。「ああ、もしかしたら、もうあの子達に会えないかもしれない」と。そう思ったときに、電撃に打たれたようなショックを受けました。「あっ、これが震災で津波に呑まれていった親が我が子を思った時の感情なんだ」と。被災した方の気持ちが観念でなく実感として自分の心に刻まれたような思いでした。

こうして生まれたのが市民参加型国際会議「世界防災フォーラム」開催の構想です。災害科学国際研究所の今村所長、そして東北大学の当時の里見総長に強いサポートをいただいて、2017年このアイデアを「第1回 世界防災フォーラム」として実現することができました。さらに2018年にはより活動を強化するために、事務局として「一般財団法人 世界防災フォーラム」を立ち上げました。

まだ設立まもない財団ですが、多くの人たちに支えられようやく3年が経ちました。私たちはこれからも国際会議「世界防災フォーラム」の開催を中心とし、活動の幅を広げながら、災害で苦しむ人を無くすための活動を続けて参ります。皆様の温かいご支援、ご鞭撻のほど、今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

小野裕一

地理学博士。専門は気候学、国際防災政策。世界気象機関(WMO・ジュネーブ)、国連国際防災戦略(UNISDR・ジュネーブ・ボン)、国連アジア太平洋経済社会理事会(ESCAP・バンコク)で国際防災政策立案に従事。2012年に東北大学災害科学国際研究所の教授に就任。災害統計グローバルセンター長を兼務。第1回世界防災フォーラムの事務局長を務め、2018年に一般財団法人「世界防災フォーラム」を設立し代表理事に就任。

私たちの活動理念

ミッション

災害で苦しむ人をなくす。

大切な人と二度と会えなくなってしまうことは、人生で最もつらい苦しみのひとつです。私たちのミッションは、そういった悲しい経験をする人たちを無くすことです。

ビジョン

防災分野でのプラットフォーマーとなる。

専門家だけでなく、市民や学生にも防災について、語ったり、学んだりする場を提供することにより、世界中の全ての人々が防災を知るきっかけを提供します。

防災は「しなければならない、固い、暗い、面白くはない」といった、ネガティブで灰色のイメージになってしまいがちです。専門家や活動家だけが盛り上がり、一般市民の人たちが興味を持たないと意味がありません。私たちはこの壁を取り払い、防災を面白くし、興味を持ってもらうための活動を続けてまいります。

バリュー

東日本大震災の経験と学びを伝える。

私たちの活動の原点は3.11です。東日本大震災の経験と学びを大切にします。

多様性を重視する。

世界中の全ての人たちに向けて活動します。国籍、宗教や政治的な立場、性別、年齢、障害の有無などにかかわらず公平で正直な活動を心がけていきます。

文化を大切にする。

文化は、その土地でくらす人たちのルールや習慣、行動様式、祭りなど無形の生活様式そのものです。防災を文化に根付いたものに昇華させることにより、人々にとって防災はより身近なものなると考えます。

科学と新しいことへのチャレンジの重視

経験に基づいた過去の言い伝えや民間伝承はとても大切ですが、根拠のない迷信による行動は避けねばなりません。データと科学に基づいた議論を重視するとともに、今までの常識に囚われず新しいチャレンジを続けてまいります。

パートナーシップを広げる。

私たちの力は小さいですが、行政、企業、学術、メディア、同じ志をもつNGOやNPO、さらには個人など、様々な人たちと連携することにより、より大きなうねりを作り出すことが重要です。

組織の概要

組織・理事(2021年5月 現在)

組織・理事

理事

役職 氏名 プロフィール
代表理事 小野 裕一 東北大学災害科学国際研究所 教授
理事 福島 洋 東北大学災害科学国際研究所 准教授
理事 大野 晋 東北大学災害科学国際研究所 准教授
理事 小尾 尚子 国際基督教大学 NOHA プログラムコーディネーター
理事 細江 絵梨 (一社)根浜 MIND と協業し事業創造に取り組む
理事 鈴木 さち 日本信託基金コーディネーター、ユネスコジャカルタ事務所

評議員

役職 氏名 プロフィール
評議員 高松 宏行 パシフィックコンサルタンツ株式会社
評議員 蛭間 芳樹 日本政策投資銀行
評議員 濱田 尚 日本たばこ産業株式会社

監事

役職 氏名 プロフィール
監事 手島 貴弘 税理士、公認会計士、手島会計事務所

沿革

  • 2011年3月11日 東日本大震災
  • 2012年4月 東北大学災害科学国際研究所 設立
  • 2015年3月 第3回国連防災会議仙台 開催
  • 2017年11月 第一回世界防災フォーラム 開催
  • 2018年12月18日 一般財団法人 世界防災フォーラム 設立
  • 2019年11月 第二回世界防災フォーラム開催

事務局

  • 事務局長 吉野 賢
  • 副事務局長 坂本 壮(パシフィックコンサルタンツ株式会社)
  • 総務担当 松浦 妙子

定款、事業計画・事業報告など

連絡先

宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1
東北大学災害科学国際研究所 5階 E501
TEL 022-263-1688
E-MAIL @

交通のご案内

電車
仙台駅から
仙台市営地下鉄東西線 八木山動物公園行き 「青葉山駅」下車
南出口から出て正面のキャンパスモールを右へ徒歩約3分

タクシー
仙台駅から
所要時間 約20分(※道路交通状況による)